漢詩・漢文を英訳
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拙者が英語学習のモチベーション維持のために翻訳した漢詩などをまとめて掲載するでござる。 掲載の都合上、漢詩は全て左上から横読みなのでご注意くだされ。翻訳する毎に追加していくでござる。
于武陵「勸酒」
勸君金屈巵
滿酌不須辭
花發多風雨
人生足別離
井伏鱒二の和訳
この杯を受けてくれ
どうぞなみなみつがしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生だ
拙者の和訳・英訳
何も言わずこの杯を飲み干して欲しい
酒で満たされたこの杯は僕からの手向けだ
ようやく花が咲いたと思えば嵐が来るように
良き友だけが去っていく
I want you to dry up this cup silently.
The cup filled with sake is farewell to you.
Like the storm which comes when flowers bloom,
The good friend goes away.
王維「送元二使安西」
渭城朝雨浥輕塵
客舍青青柳色新
勸君更盡一杯酒
西出陽關無故人
渭城の朝の雨が道の埃を落ち着かせ
旅館の柳も青々と生き返ったようだ
さあ君、もう一杯やりたまえ
西方の陽関を出てしまえばもう酒を交わす友もいないだろう
Thanks to the rain at the morning,
It is fine humidity.
And the willow near the guest house is vivid green.
Take one more cup of sake,
You will be lonely after you leave the barrier.
荘子 斉物論篇 胡蝶の夢
原文
昔者、荘周夢為胡蝶。栩栩然胡蝶也。自喩適志与。不知周也。俄然覚、則蘧蘧然周也。不知、周之夢為胡蝶与、胡蝶之夢為周与。周与胡蝶、則必有分矣。此之謂物化。
書き下し文
昔者(むかし)、荘周(そうしゅう)は夢に胡蝶(こちょう)と為(な)る。栩栩然(くくぜん)として胡蝶なり。自ら喩(たの)しみて志に適するかな。周たるを知らざるなり。俄然(がぜん)として覚むれば、則(すなわ)ち蘧蘧然(きょきょぜん)として周なり。知らず、周の夢に胡蝶と為れるか、胡蝶の夢に周と為れるかを。周と胡蝶とは、則ち必ず分有り。此(こ)れを之(これ)物化(ぶっか)と謂(い)う。
英訳文
Once I, Zhuang Zhou, was a butterfly in my dream. I enjoyed being a butterfly all that time. I was flying around as I pleased, and never noticed that I was Zhuang Zhou. After abrupt awakening, I was Zhuang Zhou definitely. Now I do not know whether Zhuang Zhou was a butterfly in his dream, or the butterfly is being Zhuang Zhou in its dream. But there must be a difference between Zhuang Zhou and a butterfly. The difference is made up of the transformation of things.
現代語訳
いつだったか私こと荘周(そうしゅう)は、夢の中で蝶になっていた。喜々として蝶そのものであった。思うがままにひらひらと飛び回る事を楽しみ、自分が荘周である事など考えもしなかった。ところが突如として目覚めてみれば、まぎれもなく私は荘周であった。そこで考えてみると、人である荘周が夢の中で蝶になっていたのか、それとも自分は実は蝶で、その蝶が夢を見る時に人である荘周になっているのか、果たしてどちらであるか解らなくなってしまった。だが荘周と蝶は、形の上では確かに別のものと区別をつける事ができる。この違いを物化と言う。
Translated by へいはちろう